第22回(2024年度第2回)会議を開催しました
2024年10月28日
令和6年10月28日(月)、東京都にて、第22回「官民連携まちづくり推進協議会」を開催しました。6自治体と2団体から17名が参加しました。
開会に当たって、世話人代表(山梨県都留市 総務部長 山口哲央)が、「選挙後の忙しいときにもかかわらず集まっていただきありがたい。政権が変わると交付金がどうなるか、心配になるが、平等、公平の観点も踏まえ、最適解を探すのが我々の仕事、小さな弱い自治体でもみんなで力を合わせていけば、いいまちづくりが出来るという一つの事例にしていきたい」という主旨の挨拶をしました。
今回のテーマは、「自治体も稼ぐことを考えよう!」です。先進的な取組をされている2つの自治体の担当者からレクチャーしていただきました。
はじめに登壇されたのは、津山市の川口義洋財産活用課長。「公民連携による公共施設の価値向上」と題して講演していただきました。川口課長は、入庁以来、16年間建築営繕及び建築指導部門の業務に携わり、ファシリティマネジメント(FM)部門に異動以降は、建築的な視点から公共施設マネジメントや公共空間の利活用など、FMとPPPを両軸に都市経営課題の解決に取り組んでこられています。また、内閣府PPP/PFI行政実務専門家や、国土交通省PPPサポーターとしても活躍されています。
公共施設について、現在、管理が行き届いていない不幸な建築物が多くなっており、ほぼすべての公共施設が赤字運営となっている等の実情がある。蝕んでいる公共施設がまち全体の資産価値を低下させており、ゲームチェンジが必要だ、との話から始まりました。
津山市が取り組んだ、江戸期の古民家(旧苅田家付属町家群)を一棟貸しホテルにするコンセッション事業や、人口500人の旧阿波村の公共施設群(森林公園、バンガロー、テントサイト)にグランピング施設の誘致を行ったエリアリノベーション事業、年間1.1億円の赤字を出していた施設(鉄骨フレームとガラスが特徴的な屋内プール施設)をPPP手法による再生事業を行い、稼ぐ装置に転換した事例の紹介がありました。
公共施設について、その資産価値向上を目指して、打てる手は全て繰り出し、「税金を投入するマイナスの資産」から「まちの経営資産」となる幸せな建築としたい、との熱い思いを話されました。
次に、登壇されたのは、瀬戸内市の総合政策部企画振興課仁科佳菜子課長補佐。「瀬戸内市が目指す“しあわせ”な地域づくり~稼ぐ市役所の実現へ~」と題してお話しいただきました。仁科課長補佐は、現在まで8年間企画振興課に在籍し、稼ぐまちづくりに携わってこられ、今回は2つの事例について発表していただきました。
先ず、「太陽のまちプロジェクト」です。管理不能となった海面より低い塩田跡地を、市民の安全安心のため市が取得し、常にポンプ排水を行っていた用地に、日本最大級の太陽光発電事業を、民間からの出資と投資により誘致した。これまで、ポンプの電気代に年間数千万円かかっていたが、太陽光発電所として用地を貸し付けることにより、20年間で約100億円の貸付料を得ることができた。また、事業者が約32億円相当の堤防の補強や排水路の浚渫工事を行い、市に寄付を行ってくれた。貸付料で得た収入は、跡地維持管理として60.5億円、まちづくり事業に40億円を活用することとしている、との説明がありました。
次に、「山鳥毛里帰りプロジェクト」です。このプロジェクトは、上杉謙信の愛刀として名高い国宝の備前刀(太刀 無銘一文字 山鳥毛)を、刀の生まれ故郷である備前長船(瀬戸内市)の地に里帰りさせようというもので、評価額5億円の購入費用を企業版ふるさと納税やクラウドファンディングにより調達した取組です。最初は非常に困難な目標と考えられていたが、共感が広がり、応援者、ファンが増えていった結果、目標額の約5.1億円を大きく上回る約8.8億円を集めることができた、との説明がありました。現在は「山鳥毛里づくりプロジェクト」と改め、引き続き「山鳥毛」を核に、特色あるまちづくりによる地方創生の実現を目指す、とのことです。
また参考として、子ども達の健やかな成長と農業をつなぐ「食のしあわせプロジェクト」を実施し、学校給食の地場産物の買い上げなどに取り組んでいる事例や、瀬戸内市の行政活動や予算の使われ方、成果、課題などをまとめた、全国自治体で初となる「統合報告書」の発行を行い、市民に透明性を提供している事例も紹介されました。
いずれも、熱心な質疑応答があり、大変盛り上がった会となりました。
最後は恒例の、全員での写真撮影!