第23回(2024年度第3回)会議を開催しました
2025年3月12日
2025年3月12日(水)、オンラインにて、第23回 「官民連携まちづくり推進協議会」を開催し、全国の14の自治体・団体より29名の皆さんにご参加いただきました。
「最小の経費で最大の効果を上げること」が、当会のキーワードの一つであるとの、世話人代表 山口哲央による開会挨拶に始まった今回は、株式会社メルカリの政策企画参事 高橋亮平氏をお迎えし、ご講演と意見交換、および質疑応答という内容で進行しました。

高橋氏によるご講演のタイトルは、「なぜ自治体は『メルカリ』で粗大ごみや備品を売るのか?~社会課題を解決する官民連携の可能性~」。自治体による多様なメルカリの活用事例から、変わりゆく社会の中で、求められる自治体の変化やマインドに及ぶ、幅広いテーマでお話しくださいました。
法人等も利用可能な、Eコマースプラットフォームである「メルカリShops」の機能を使って、既に42の自治体が備品販売、15の自治体が粗大ごみの販売を実践しています。高橋氏は、こうした動きに対し「メルカリと自治体との連携では、首長のリーダーシップが有効な場合も多いですが、担当課長や担当者の意識や熱量の高さも重要で、成果を出している自治体は、若手のけん引力も大きいのが特徴です」と紹介し、成果の見られる自治体の実状に触れました。

またその強みを、「メルカリShopsでは、自治体が自ら売りたいものを売れることが特徴で、善戦できるのは、規模が大きい自治体だけではありません」と説明。当会のメンバーである鳥取県南部町では、空き家の利活用促進のため、残留物・残置物の処分を目的とした出品を行っていることも紹介されました。
さらに、教育活用の事例や寄附の醸成など、物の売買にとどまらない、幅広い活用法があることも示されました。特に前者では、不用品のリユースを目的とした販売授業を通し、環境施策やサーキュラーエコノミー教育への貢献が拡大しています。「こうしたしくみを作ることで、本来行政がしなければならないリユース推進事業を、学生たちが担ってくれるというような発展性も期待できます」と高橋氏。

講演の後半では、「なぜ自治体はメルカリで売るのか」を入り口に、社会の変化とこれからの行政の在り方に、話題が発展していきました。
高橋氏は、行政が税金で動かしていくことの限界と、非行政に公共を担ってもらうことの必要性を提示し、「成長戦略と位置付けられているGX(サーキュラーエコノミー)やDX(デジタルトランスフォーメーション)をうまく活用しながら、新しい自治体、新しい市役所や町役場を考えていかなければなりません。DXによって、労力の圧縮を行うとともに、一部はアウトソーシングを検討する等、公務員がやらなければならない仕事なのか、民間に任せられる仕事なのかを整理し、自治体の職員は、企画や政策立案などプロフェッショナルな仕事に集中する。こうした新しい役場を目指すということも、可能なのではないでしょうか」と述べました。
高橋氏は最後に、「これまでは、新しい取り組みや公民連携のモデル作りは、政令指定都市等の大規模な自治体と国が連携して行われることが多いのが実状でした。しかしIT化が進むことで、判断力・機動力が高いのは、むしろ地方の中小規模の自治体であるという時代です。まさに意識次第です。集まった皆さんのような自治体から、ぜひ動き出していきましょう」と締めくくりました。
意見交換と質疑応答では、各自治体より、メルカリ活用のノウハウや「売上を上げることを目的とするのか、リユースを重視するのか」の考え方の違いや、シェアリング事業との比較等、多様な切り口からの意見や質問が飛び交いました。

「市民を動かすしかけも変わりつつある。正しい政策よりも、正しく動くしくみを作ることが大事です」との高橋氏の言葉も、印象的でした。
今回、新たに得られた知見とご縁を、参加された各自治体の今後の取り組みに活かしていくことを確認し、会は締めくくられました。